マンスリーマンションの壁は薄い?防音性が高い物件の探し方

なんとなくマンスリーマンションって壁が薄くて遮音性が低いというイメージを持っていませんか?この記事では、なぜそういった印象を与えてしまっているのか、本当に事実なのか?についてと、防音性が高い物件の探し方を解説します。

なぜマンスリーマンション=「壁が薄い」という印象があるのか?

2018年にマンスリーマンションの運営を手掛ける不動産業者の施工不備が発覚。調査の結果、同社の建築したアパート7万4532戸に上る不備があることが判明した事件がありました。

事件の概要とその後の進捗については賃宅住宅新聞にも掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。
【レオパレス違法建築問題どうなった?】施工不備問題を総まとめ

施工不備の内容は、界壁・天井・界壁内充填(じゅうてん)部材および外壁構成の相違・界壁の耐火構造の不備です。設計図に記載されている壁がなかったり、入れられているはずの充填材が入ってなかったり等、建築基準を満たしていない物件が大量に出来上がってしまっていて、それを運営していたのですから、入居者から音の問題を指摘されても当然かなと思います。

こういった過去のマンスリーマンション業者の建築不備で、「マンスリーマンション」=「壁が薄い」=「音漏れがひどい」というマイナスイメージが定着してしまったのではないかと考えます。

また当時のマンスリーマンションの運営業者が取り扱っていた物件の構造が、木造・プレハブだった事も原因の一つでしょう。一般的に木造・プレハブは、RC(鉄筋コンクリート)造より遮音性が劣るとされています。

実際のマンスリーマンションの防音性は?

答えはズバリ「物件による」です。ちょっと怒られてしまいそうな回答なのですが、実際にはその通りなのです。

マンスリーマンションは一般的には運営会社が家主から賃貸物件を借り上げて、家具家電製品を設置し、マンスリーマンション仕様にして転貸する方法を取っています(自社所有物件の場合もあります)。なので、市場に出回っている賃貸マンションと物件自体の違いはありません

物件の中には木造もあれば鉄骨造もあって防音性は構造によるところが大きいので、全ては物件次第ということになります。

ちなみに、防音性は下記の順で向上します。基本的に防音性と賃料は比例しますので、防音性が高い物件ほど賃料も高くなるのが一般的です。

木造<鉄骨<RC(鉄筋コンクリート)

【防音性が高い物件の探し方】おすすめはRC造で築浅の分譲仕様

音が気になる方は、物件を検索する時に「構造」で絞り込むといいですね。最も防音性が高いのはRC(鉄筋コンクリート)造です。「構造」の「鉄筋コンクリート系」にチェックを入れて検索するといいでしょう。

マンスリーズでは、築年数でも絞り込み検索ができます。建築基準法の改正で築浅の方が耐震性(建物の強度)が向上しているため、築浅の方が防音性が向上しています。

また、分譲仕様の方が強度が強く防音性も高くなります。物件が分譲仕様かどうかをどうやって見分けるかというと「物件の画像」と「住所」から判断できます。まずWEBのmapで検索すると物件の正式名称がわかります。

物件の正式名称で検索すると販売会社がわかります。グーグルストリートビューで物件の入口付近に管理看板が写っていることがあるので、それで判別することもできます。慣れればすぐに物件を特定できますよ。

物件名がわかれば、物件の構造や工法、仕様などはすぐに調べる事ができます

  • 賃貸マンションよりは投資用の分譲マンション(区分所有)
  • 構造はRC系
  • できる限り築浅の物件を選ぶ

この3つで、音の問題についてはかなりクリアできるはずです。

騒音は発生源や原因の特定が難しい

「上階の足音が聞こえる」、「隣の家のテレビの音が聞こえる」、「洗濯機の音がする」といった生活騒音のトラブルは、賃貸住宅でも当然発生するのですが、実は音源の特定も含めて原因を探るのは本当に難しいんです。

実際に上で子供が飛びはねているのがわかって、どうしても気になる場合は運営会社に連絡すれば「下階の方が気になると言っておられますので、ご注意下さい」と伝えてくれるくらいの事はやってくれます。

また例えば、マットやラグを引くことで振動を少なくする事をお勧めしたり、家具や電化製品の配置、レイアウトを工夫することで音漏れや振動が緩和されることがあります、等のアドバイスもしてくれるでしょう。

厄介なのは「上の階の足音が気になる」と言われたので管理会社が該当のお宅を訪問すると、お留守でしたという場合です。こうなると発生源の特定は非常に難しくなってしまいます。

音は振動なので構造物の鉄筋や鉄骨、壁を伝って伝わったり、水道やガスなどの配管が原因な場合もあります。一軒飛ばして音が伝わる事もあれば、まったく想像のつかない離れた部屋の音が伝わる事もあります。機械式駐車場のモーターや加圧式の水道のポンプの稼働音もあります。

集合住宅で、そのクレームの対象音が鳴っている時間に、全ての住戸の使用状況を確認するのはかなり難しい事はお分かりいただけると思います。

最悪の場合でも手軽に引っ越せるのがマンスリー住居の利点

音の問題はマンスリーマンション、賃貸マンション、一戸建て、分譲を問わず、一度気になってしまうと、どこまでも気になってしまうものですが、多少は許容できる心の余裕を持つ事も必要でしょう。ご自身の生活音も誰かの住戸に伝わっているかもしれないですしね。

集合住宅であることを意識して、自分自身の生活音も気をつけて生活してください。しかし、物件選びで気をつけても、自分がいくら気をつけても、隣人を選ぶ事はできません。もし許容範囲を超えているようなら、不要なトラブルにならないようにまずは運営会社に相談してください。

それでも改善が期待できないようなら、初期費用の安さや契約の手軽さがマンスリーマンションの利点なので、固執せずに解約して別の物件を探すのも一つの手です。

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  • この記事を書いた人

不動産Webコンサルタント 東口 悟郎

メディアマックスジャパン(株)の不動産営業担当。大阪の総合不動産会社でマンスリーマンション部門を立ち上げ、3年で運営室数200室を突破させた。システム開発から賃貸・売買仲介、社宅斡旋まで幅広い不動産経験を持つ。現在は主に不動産業務システムの導入コンサルティングと、ウィークリー・マンスリーマンションの集客サポートを担当している。

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