家具付き賃貸とマンスリーマンションの違いを徹底解説

賃貸マンションの大手検索サイトのsuumoやathomeには、「家具付き賃貸」というタイプの物件が数多く掲載されています。「家具付き賃貸」と「マンスリーマンション」の違いはご存じでしょうか?部屋の実態はどちらも「家具付きのマンション」なので、何が違うのかよく分からないのではないかと思います。

そこで「家具付き賃貸」と「マンスリーマンション」の違いについて東京・大阪の掲載会社に複数問い合わせて調査し、違う点をまとめてみました。全ての業者に問い合わせた結果ではありませんので、詳しくは契約を検討されている物件の運営会社に直接ご確認下さい。

最後に、入居契約前に確認すべき項目のチェックリストも挙げておきますので、ぜひ参考にしてください。

契約形態が違う

一般的なマンスリーマンションの場合、「定期借家契約」を締結します。

家具付き賃貸物件の多くは「普通借家契約」で、契約期間は1年以上。借主の希望によって、更新料を支払えば契約期間は延長できますが(※)、「定期借家契約」は1年未満の契約も可能で、契約期間が満了すれば契約は終了します。
※関西では更新料なしの物件が多い

また「定期借家契約」では、契約時に契約書とは別の書面で借主に「更新できない契約」であることを通知する必要があります(令和4年5月からは電子契約でも可能になりました)。定期借家契約の場合、貸主は物件の運営会社になることが多く、「重要事項説明」の必要がありません

重要事項説明とは、不動産の賃貸借契約をする前に、その物件や契約条件に関する重要かつ細かな事項を、宅地建物取引士の資格を持った不動産会社の担当者が書面を交付して説明することです。賃貸物件を借りたことがある方なら、必ず説明を受けたことがあると思います。

重要事項説明は宅地建物取引業法で定められた義務でなので、普通借家契約の「家具付き賃貸」では省略することができません

まとめると、下記のような契約内容の違いがあります。

普通借家契約 定期借家契約
契約期間 1年以上 制限なし
契約更新 可能 不可
契約締結 口頭でも可 書面のみ
重要事項説明 必要 不要
貸主からの中途解約 正当な事由が必要 特約による
借主からの中途解約 特約による 特約またはやむを得ない事情による

定期借家契約のマンスリーマンションは基本的に更新は不可ですが、貸主(物件の運営会社)が応諾すれば、更新ではなく新たな契約を結んで継続して利用する事を認めている場合が多いようです。

料金(賃料)の設定が違う

家具付き賃貸は普通借家契約になるので賃料は月額固定になり、入居人数によって変動する事はありません。(3人でも5人でも賃料は変わりません)。

一方マンスリーマンションは賃料は日額で設定されていて、利用人数によって料金が変動します。

マンスリーマンションはガス・水道・電気等の契約の主体者が物件運営会社になっており、入居者は公共料金の利用手続きが不要で、入居したその日から使うことができます。

利用者が増えると公共料金の利用料も比例して増えるため、利用者数に応じて料金が変動するようになっています。季節によって変動させている物件もあります。

家具付き賃貸は使用開始届けや契約も入居者自身が行う必要があり、その点では少し手間がかかると言えます。

また、マンスリーマンションは敷金・礼金等の初期費用が不要な物件がほとんどですが、家具付き賃貸は保証会社や火災保険の加入も入居の条件にされるので、初期費用は大きくなりがちです。

入居中の家具や電化製品の保証が違う

マンスリーマンションは、入居中に電化製品の故障や不具合があった場合、運営会社が交換等の対応をおこなってくれます。

家具付き賃貸は、家具や電化製品は残置物扱いで所有権は契約者に移転されている場合が多く、契約者自身でメンテナンスを行う必要があります。

また、退居時の家具や電化製品の撤去・処分方法について、契約書(重要事項説明)で確認しておく必要があります。残置物扱いの場合、撤去や処分は入居者自身が費用を負担しておこなわなければなりません。

マンスリーマンションを運営している業者が「家具付きの賃貸マンション」として入居者を募集している場合は、残置物扱いではない場合が多いです。非常にわかりにくいと思いますが、運営会社によって言葉の定義が違う場合があるので、正確な情報は各物件の運営会社に確認してください。

入居契約前の確認項目チェックリスト

もし1年以上の長期契約をご希望で、その物件を運営しているのがマンスリーマンションを運営している業者なら、一度連絡してみて普通借家の契約が可能か交渉してみるのもありかと思います。契約手続きは定期借家に比べて煩雑にはなりますが...。

実際、私が過去にマンスリーマンションを運営していた時に、入居者の希望で定期借家から普通借家に切り替えたケースが何例かありました。

最後に、マンスリーマンションを契約する前に確認しておくべき項目を挙げておきます。「家具付き賃貸」でサイトに掲載されている物件の業者に問い合わせる際も同じです。

チェックリスト
  • 契約は定期借家契約か、普通賃貸借契約か
  • 家具家電は残置物扱いか、物件運営会社の所有物か
  • 退居時の家具や電化製品の撤去や処分は誰が行うのか
  • 保証会社に加入は必要か、保証人は必要か

以上「家具付き賃貸」と「マンスリーマンション」の違いについてご紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

また、民泊とウィークリー・マンスリーマンションの違いについてはこちらの記事をご覧ください。

MAN3’S
  • この記事を書いた人

不動産Webコンサルタント 東口 悟郎

メディアマックスジャパン(株)の不動産営業担当。大阪の総合不動産会社でマンスリーマンション部門を立ち上げ、3年で運営室数200室を突破させた。システム開発から賃貸・売買仲介、社宅斡旋まで幅広い不動産経験を持つ。現在は主に不動産業務システムの導入コンサルティングと、ウィークリー・マンスリーマンションの集客サポートを担当している。

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